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死にゆく遺産

石垣と言えば、ダイバーのメッカ。 さらに白保は、北半球では青サンゴの群生で有名。でも、WWFがリサーチして、保護しないとならないほどのダメージを受けているらしい。

昨日早朝からその白保のWWFのサンゴ館に行ってきた。何とも小さな施設で、どちらかと言えば地元の紹介に近い。昔の漁の様子や、そこでとれる物の紹介。入館も無料だから、どのように運営しているのか、、、
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そして、今朝、一応勝手に泳ぐのはと思い、エコツアーなるものに参加して、その白保のリーフをシュノーケルしてみた。連休のせいか、15人ほどで小さな船はいっぱい。

子供づれの家族もいるし、カップル、女の子同士、などなど。 3分の1ほどがシュノーケルは初心者。
海に入る前に、一応のシュノーケルの使い方と、注意事項が説明され、いざ海へ。

引き潮のせいもあり、以外に浅い。場所によっては足がつきそうなところも。
そして、きれいなはずのサンゴ礁は、、、、

半分以上が死に絶え、生き残った珊瑚も客家現象で、かなりのダメージを受けている。昔15年ほど前にインドネシアで見たリーフは、目を疑うほどの美しさだった。しかももっと深度が深く、色も悪かったはずなのに、、、、 
折れたサンゴや、死に絶えた残骸、、、、、正直なところ、涙が出そうだった。

そして、その自然を守ろうと、せっかくツアーで行ったはずのシュノーケルでは、家族連れも、カップルもピースサインに写真で必死で、フィンでサンゴをパリパリと折りまくる。

乾いた“パリン、、、、、パリン、、”
と言う音が私の水中に響くたびに、丹念もかけて少しずつ成長を遂げてきたサンゴが、一瞬にして、見られることもなく、自分たちのスナップショットのを撮る為に壊されていく。 写真なら、船の上でとればいい。
何をしに来たのか、そこにあるリーフを、そっと外から眺めに来たのだ、騒ぎに来たわけではないはず。

”やっぱ、きれいじゃない~~”
と言いながら、彼氏にしがみつく彼女のもう一方の手は、慣れないせいか、サンゴの上に置かれ、そこから、やわらかいサンゴの悲鳴に似た、粉が飛び散る。

ああ、もう何も言うまい。

都会の人は、アミューズメントパークや、公園など、人の手が入った遊戯にあまりになれすぎて、自然をそっと眺めることには、とてつもなく無神経なことがある。
それなら、それをまず、どうすればよいかを教えてから、見て欲しい。

あなたのそのフィンのひとかきで壊したサンゴは、いったい何年かけて、1cmを成長したか。
あなたの壊したサンゴのせいで、魚のえさ場がどのくらいダメージを受けたか。
壊せばまた、作ればいいというものでは、ないこと。
”私がちょっと何かしたくらい”

が、今のこのリーフの死に絶えた結果なこと。10年後には下手をすれば何も残っていないかもしれない事。

でも、わずかおひとり様5000円を稼ぐために必死なツアー会社は、何も言わずい
”きれいでしょう?”

と、笑うだけ。

後、いつまでそうやって笑っていられるのか。
ここだけに限ったことではないし、これだけに限ったことではない。

サンゴ館で、おばあは、
”昔みたいにアーサ(海のり)が取れないさ。取り過ぎたかね。でも、売れるから”

と言っていた。 自分の首を締めながら、苦しい息をするとき、人は結果を知りながら、やめられない。
わかっちゃいるけど、、、だ。

私もわかっちゃいるけど、現状の自分に終止符が打てない。壊れゆくサンゴに自分が被る。でも、まだ終われない。 でも、止まれない。

ああ、どうにも止まらない~~
なんて、昔歌があったかな。(古いか)

こんな時、利益度外視で環境を重視するオーストラリア人のもとへふと、帰りたくなる。
彼らは日本人ほど、物資的には豊かではない。でも、自然の中で、暮らすためには共存すればよいかは、彼らの方がずっと豊かな知識と、実践力がある。自分たちの不便さを代償にしても、いとわない心の大きさ。それがたまらなく、ここにいると懐かしい。
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本日の一言。
”不便は最高さ~”
by bushfire | 2009-07-19 20:08
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